クトゥルフ神話TRPGシナリオの作り方|初心者KP向け5ステップ完全ガイド
クトゥルフ神話TRPGシナリオの作り方|初心者KP向け5ステップ完全ガイド
クトゥルフ神話TRPGのシナリオ作成は、6版と7版で前提が少し異なりますが、初心者KPが押さえるべき骨格ははっきりしています。導入フックからクライマックス、複数のエンディングまでを見通しよく組み、2〜4時間で収まるクローズド型にすると、初回でも卓を動かしやすくなります。
クトゥルフ神話TRPGのシナリオ作成は、6版と7版で前提が少し異なりますが、初心者KPが押さえるべき骨格ははっきりしています。
導入フックからクライマックス、複数のエンディングまでを見通しよく組み、2〜4時間で収まるクローズド型にすると、初回でも卓を動かしやすくなります。
KADOKAWAのガイドラインでは、技能〈〉・呪文《》・著作物『』の表記が定められ、コンテスト応募は26字×32行・25枚以内という形で整理されています。
SPLLが必要な有償配布と、BOOTHやnoteでの無償公開の違いも先に押さえておくと、公開方法で迷いにくいでしょう。
クトゥルフ神話TRPGのシナリオとは?KPが知っておくべき基本
クトゥルフ神話TRPGの日本版には、2004年発売の6版(クラシック版)と、2019年12月20日発売の7版『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』(KADOKAWA)の2系統があります。
まずここを押さえるだけで、シナリオの書き方や遊び方の前提が見えやすくなるでしょう。
6版を基準に組まれた定番の感覚は今も生きていますが、7版では判定の手触りが変わり、KPが準備段階で考えるべきことも増えました。
| 系統 | 発売情報 | シナリオ設計で意識する点 |
|---|---|---|
| 6版(クラシック版) | 2004年発売 | 伝統的なCoCの書式や感覚を押さえやすい |
| 7版(新クトゥルフ神話TRPG ルールブック) | 2019年12月20日発売、KADOKAWA | 新メカニクスを前提に、判定の押し引きや継続行動を組み込みやすい |
7版で増えたボーナス・ペナルティダイス、プッシュロール、ラック消費は、単なる追加ルールではありません。
成功か失敗かの二択に寄りにくくなり、失敗したあとも押し切る余地が生まれるため、場面ごとの緊張感を細かく設計しやすいのです。
例えば、重要な手がかりを1回の判定にだけ預けるより、プッシュロールで危険を伴う再挑戦を入れたり、ラック消費で「生き延びる代わりに何かを削る」演出を入れたりすると、物語の手触りが7版らしくなります。
つまり、7版シナリオは判定結果そのものだけでなく、失敗の後に何が起こるかまで組み込むと映える。
KPはキーパー・オブ・アーケイン・ロアの略で、GMに相当する進行役です。
単にルールを裁定するだけでなく、場面転換のテンポを整え、NPCの言動を管理し、プレイヤーが迷ったときに物語の方向を示す役割も担います。
初心者KPがつまずきやすいのは、一本道にしすぎて詰みを作ることと、NPCを増やしすぎて処理が重くなることです。
だからこそ、最初は2〜4時間のクローズド型から始め、登場人物と手がかりを絞っておく構成が扱いやすい。
主役はあくまで探索者であり、KPはその動きを阻害せずに、適切な裁定で物語を前に進める側に回りましょう。
CoCシナリオの核心は、宇宙的恐怖とプレイヤーの無力感をどう立ち上げるかにあります。
怪物を倒して終わるだけなら、クトゥルフ神話TRPGらしさは薄れます。
正体のわからない脅威、理解しても救えない状況、知るほどに削られるSANという流れが重なることで、探索者は「勝つ」より「耐える」存在になるのです。
この感覚があるから、シナリオの結末は単純な勝敗ではなく、生還、封印、記録の持ち帰り、あるいは何かを失っての脱出といった複数の余韻に分岐していきます。
そこを意識して書くと、ホラーがただの事件処理ではなく、セッション後に残る体験になります。
おすすめです。
ステップ1:シナリオの核(コア設定)を決める
クトゥルフ神話TRPGのシナリオ作りでは、まず「どんな事件が起き、黒幕は何か」というコア設定を固めるのが出発点になります。
導入フックやクライマックスを先に考えるより、真相部分から逆算したほうが、展開のブレが少なくなります。
初心者KPなら、新クトゥルフ神話TRPGの7版を軸に、登場人物を絞ったクローズド型の2〜4時間シナリオから組み立てると扱いやすいでしょう。
コア設定を考える入口は、神話生物の行動原理に注目する方法が扱いやすいです。
たとえば「なぜその存在は人間社会に干渉するのか」「何を得るために事件を起こすのか」を決めると、黒幕の目的が自然に立ち上がります。
そこから日常の謎に神話要素を差し込むと、怪異が単なる派手さではなく、身近な違和感として機能します。
既存創作物の小説や映画から空気感を借りるのも有効で、発想の芯をつくりやすいです。
おすすめです。
舞台設定も、コア設定と同じくらい行動設計を左右します。
現代ならスマートフォンやネット検索が使えるので、探索者は情報収集を短時間で進めやすいです。
1920年代を選ぶなら車や電話が限られるため、移動や連絡に時間がかかり、追跡劇や聞き込みの重みが増します。
つまり、時代は雰囲気づくりだけでなく、探索者に何ができるかを決めるルールそのものなのです。
ここを先に定めておくと、シーンごとの行動選択がぶれません。
初心者KPには、登場人物が少なく、舞台も1〜2箇所に収まる閉じた構成が向いています。
所要時間2〜4時間の範囲なら、導入フックからミドルフェーズ、クライマックス、分岐エンディングまでをコンパクトにまとめやすいからです。
NPCが増えすぎると処理が重くなり、一本道に寄りすぎると詰みやすくなります。
まずは少人数・少拠点で回し、プレイヤーの動きに合わせて広げていく。
そんな作り方を意識してみてください。
ステップ2:シナリオ構成(3幕)を組み立てる
シナリオ構成の3幕は、まず探索者を事件に結びつける導入で始まり、次に複数ルートの手がかりを配置して中盤の停滞を防ぎ、終盤で儀式や黒幕との対決へ収束させる流れが基本になります。
とくに「なぜ帰れないか」を論理で示すと、偶然の遭遇や依頼で始まった話でも、卓の推進力が落ちません。
導入(オープニング)では、探索者が事件に関わる理由を一つに絞らず、依頼・偶然の遭遇・巻き込まれを重ねておくと強いです。
たとえば報酬のある依頼だけでなく、身内の失踪、異変を目撃した現場への立ち会い、逃げたくても外界が封鎖されている状況を並べると、参加動機が薄いPLでも自然に前へ進めます。
帰れない理由が「道がない」「通信が切れた」「第三者に止められる」など具体的なら、探索者は自発的に動くしかなくなるでしょう。
展開(ミドルフェーズ)は、手がかりを1本線でつながず、複数ルートで拾えるように設計します。
5〜10個の進行ステップを置き、聞き込み・現地調査・資料照合・裏社会への接触のように異なる行動から同じ核心へ近づけると、誰か1人の失敗で止まる事故を避けやすいです。
手がかりが分岐していても、行き先が交差するように置けば、自由度と整理のしやすさが両立します。
クライマックスでは、神話生物との対決、儀式の阻止、黒幕との対峙を一つの山場に束ねます。
ここで効くのは、新情報を増やすことではなく、序盤から出していた違和感を回収することです。
最初は何気ない脅し文句だったものが儀式の合図だった、破損した遺物が封印の鍵だった、という形で伏線がつながると、プレイヤーは自分たちの推理が報われたと感じます。
おすすめです。
エンディングは、成功・失敗・部分的成功の3系統を用意し、選択の結果がそのまま後味に残るようにしましょう。
全員生還でも事件の真相が隠蔽される結末、黒幕は倒せたが代償が残る結末、止めきれず被害が拡大する結末を分けるだけで、同じシナリオでも印象が変わります。
救えたものと失ったものを明確にすると、次のセッションへの余韻も生まれます。
ステップ3:NPC・神話生物のデータを設計する
NPCと神話生物のデータは、シナリオ本文に書く前に「誰が何を知っていて、何を隠すか」を分けて設計すると整理しやすいです。
NPCは情報提供者、妨害者、被害者、黒幕に分類し、それぞれに探索者へ渡す情報と伏せる情報を先に決めておくと、会話や行動のぶれが減ります。
たとえば情報提供者は導線になる手掛かりを渡し、黒幕は本音を隠して誘導する。
役割が見えるだけで、場面ごとの反応が作りやすくなるでしょう。
神話生物は、強さを「数値を盛る」だけでなく、遭遇の意味が変わるように設計します。
小型・雑魚なら探索者1人で五分五分程度を目安にすると、初遭遇でも緊張感が出て、無理に押し切る展開になりにくいです。
逆にボス級は単純な耐久の高さだけでは印象が薄いので、物理攻撃耐性のような特殊設定を加えて差別化すると、戦うより逃げる・封じる・情報で崩すといった選択が生きてきます。
ここで数値を盛りすぎると調査パートの意味が薄れるため、脅威の質を変える意識で組み立てましょう。
表記ルールも早めに揃えておくと、原稿全体の見通しがよくなります。
KADOKAWA新クトゥルフ神話TRPGシナリオ執筆ガイドラインでは、技能を〈〉、呪文を《》、著作物を『』で表記するルールが定められています。
これを混在させないだけで、プレイ時に参照しやすくなり、KPが読み返す負担も下がります。
名称の見た目が統一されていると、探索者が拾うべき情報と演出上の語りが混ざりにくいのも利点です。
会話が多いNPCほど、事前準備の有無がセッションの滑らかさを左右します。
初心者なら、よくある問いに対する返答をQ&A形式で3〜5パターン書いておくと安全です。
感情的に動く相手なら「何を答えるか」だけでなく「どこで黙るか」も含めておくと、情報の出しすぎを防げます。
台詞を丸暗記する必要はありません。
短い答えを並べておくだけでも、KPはその場で組み替えやすくなり、会話多用NPCの扱いがぐっと楽になります。
ステップ4:正気度(SAN値)チェックを配置する
SAN値はPOW(精神力)×5で算出され、0になると永続的狂気に陥ります。
まずはこの上限を意識しておくと、シナリオ全体の圧のかけ方がぐっと設計しやすくなるでしょう。
1d100を振って現在のSAN値以下なら成功、超過すれば失敗という判定も、単なる運試しではありません。
プレイヤーに「どこで心が削られるか」を明確に伝える仕組みだと捉えると、恐怖の置き方に芯が通ります。
シナリオを組むときは、意図する総SAN損失量を先に決めてから逆算するやり方が有効です。
チェック回数、失敗確率、失敗時の損失期待値を掛け合わせれば、終盤までにどれだけ削れるかを見積もれます。
場当たり的にSANチェックを増やすより、全体の消耗感を管理しやすいのが利点です。
ホラーは偶然任せに見えて、実際にはかなり設計の比重が大きいのです。
序盤は1〜2点の軽いSAN損失で空気を作り、クライマックスで0/1d6のような大きいチェックを置くと、恐怖の段差が生まれます。
小さな違和感が積み重なってから大きな破局が来る流れは、参加者の心理を自然に追い込めるからです。
最初から重い判定を連打すると慣れが起きやすいので、緩急をつけて配置しましょう。
ここでのおすすめは、音や視界の不穏さと合わせてSANを削る場面を段階的に増やす構成です。
7版ではSANチェック成功時の損失量まで明記されており、6版とは計算の感覚が少し変わります。
成功したから無傷、ではなく、成功しても一定の消耗が残る前提で積み上げるため、長いシナリオほど管理が繊細になるのです。
どの版で遊ぶかによって、恐怖の持続のさせ方を調整してみてください。
おすすめの作り方は、版ごとの判定結果をそのまま同列に扱わず、損失の残り方まで含めて演出を組むことです。
ステップ5:仕上げ・テストプレイと公開
矛盾チェックでは、まず探索者が何もしなかった場合の自然進行を決めておくと、場面が止まりません。
放置すれば状況がどう悪化し、誰が次に動き、どの情報が新たに表に出るのかを時系列で置いておくと、KPは即興で迷わず進められます。
さらに、手がかりをすべて取りこぼした場合の対処も用意しておくと安心です。
別ルートで再提示する、危機の描写から状況を逆算させる、あるいはクライマックスへ進むための最低条件を緩めるなど、詰みを避ける設計がシナリオ全体の遊びやすさにつながります。
クライマックス突入条件は曖昧にせず、「何が起きたら終盤に入るのか」を明文化しておきましょう。
テストプレイでは、KPが想定しなかったプレイヤーの合理的行動が必ず発生します。
これは想定外の失敗ではなく、シナリオの穴を見つける最良の材料だと考えるべきです。
その場で裁定した内容は、口頭のままにせず本文へ反映しておくと、次回以降の運用が安定します。
たとえば、隠し場所を別の手段で探す、NPCを先回りして説得する、想定外の順番でイベントを踏む、といった行動は珍しくありません。
そうした分岐を拾うたびに処理を追記していけば、シナリオは「作った人だけが回せる」状態から脱し、他のKPにも渡しやすくなります。
おすすめの姿勢は、正解を守ることではなく、裁定の理由を残すことです。
公開時の注意点も、完成度を左右します。
BOOTHやnoteでの無償公開は特段の手続き不要ですが、有償頒布ならTRPGライツ事務局のSPLL(スモールパブリッシャーリミテッドライセンス)取得が必要です。
無料で出すのか、頒布物として扱うのかを最初に分けておくと、後から差し戻しになりにくいでしょう。
さらに、公式シナリオコンテストへ応募するなら、1行26字・最大800行、Word設定26字×32行・25枚以内のKADOKAWA規定フォーマットに合わせて整える必要があります。
形式に合わせる作業は地味ですが、提出条件を満たしていないだけで読まれる前に落ちるのは惜しいものです。
仕上げ段階で、内容と同じくらい提出先の条件を確認しておきましょう。
進行管理の観点で残しておくべき項目
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 探索者が何もしなかった場合の自然進行 | 事前に設定する |
| 手がかりをすべて取りこぼした場合の対処 | 代替導線を用意する |
| クライマックス突入条件の明確化 | 明文化する |
| テストプレイ後の反映 | その場の裁定を本文へ追記する |
| 無償公開 | 特段の手続き不要 |
| 有償頒布 | SPLL取得が必要 |
| コンテスト応募 | 1行26字・最大800行、26字×32行・25枚以内 |
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