戦略ゲーム

テラフォーミングマーズ レビュー|ルールと初心者の勝ち方

公開日: 著者: 相沢 遼介
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テラフォーミングマーズ レビュー|ルールと初心者の勝ち方

テラフォーミング・マーズは、2016年に登場したカード駆動型のエンジンビルドであり、1〜5人、90〜120分で遊べる重量級ユーロの定番です。重量級ユーロゲームを数百戦してきた筆者が初めて卓に出したときも、最初の一手の重さに戸惑いながら、その後の噛み合いの気持ちよさに一気に引き込まれました。

テラフォーミング・マーズは、2016年に登場したカード駆動型のエンジンビルドであり、1〜5人、90〜120分で遊べる重量級ユーロの定番です。
重量級ユーロゲームを数百戦してきた筆者が初めて卓に出したときも、最初の一手の重さに戸惑いながら、その後の噛み合いの気持ちよさに一気に引き込まれました。
結論から言えば、この作品は『重量級デビューに最適な決定版』で、カードを使って拡大再生産を回す感覚に惹かれるなら、基本セット単体でまず間違いなくおすすめです。
勝敗の背骨はテラフォーム評価(TR)で、気温・酸素・海洋が上限に達した瞬間に終局へ向かうため、収入と得点がひとつにつながる構造を押さえるだけで、勝ち筋の輪郭がはっきり見えてきます。

結論:テラフォーミングマーズは誰に刺さるか

テラフォーミング・マーズは、カードを使う拡大再生産が好きで、重量級に初めて触れる層にも強く薦められる一作です。
2016年発売のカード駆動型エンジンビルドとして、世界的ランキングで常時トップ10圏内に入るだけの説得力があり、ルールの骨格は見通しやすいのに、手番を重ねるほど選択肢が増えていきます。
火星を緑と海に変えながら産出を得点へつなぐ流れも鮮やかで、重ゲーの登竜門として評価される理由はそこにあります。

総合推薦度と一言でわかる魅力

総合推薦度は高いです。
対応人数は1〜5人、基本プレイ時間は90〜120分、初回は150〜180分に伸びやすく、対象年齢は12歳以上となるため、腰を据えて遊ぶ前提の会に向いています。
特に、カードの組み合わせで産出を伸ばし、そこから資源を得点へ変える連鎖を組み立てる感覚が好きな人には刺さりやすいでしょう。
一言でいえば、「火星を緑と海に変える拡大再生産」です。
気温、酸素、海洋という3つのグローバルパラメータを押し上げる行為そのものが勝敗に直結し、テーマと得点行動がきれいに重なっています。
単なる数字の最適化ではなく、赤い星が少しずつ人類の居住地へ変わっていく手触りがあるから、没入感が強いのです。

向いている人・見送ってよい人

向いているのは、2時間前後の長さを受け止められるグループと、手札から最適な一枚を拾い上げる感覚やエンジンの立ち上がりを楽しめる人です。
プレイが進むほど収入が増え、TRが毎世代の収入と基礎得点を兼ねるため、「育てている実感」が強いゲームでもあります。
筆者がボードゲーム会で重量級初挑戦の友人に出したときも、120分の長さをあまり感じさせず、「次いつやる?」と聞かれたほどでした。
見送ってよいのは、1時間以内で終わる軽量ゲームを探している人、卓上スペースや準備の手間を避けたい人です。
鋼材、チタン、植物、電力、熱、メガクレジットの6種資源を扱い、盤面には海洋9枚や都市、緑地が並ぶので、見た目にも処理にも密度があります。
逆に、時間が読めない平日夜の集まりでは長さが壁になり、途中終了になったこともありました。
遊ぶ場の空気を選ぶ作品だと言えるでしょう。

観点テラフォーミング・マーズ向きやすい層注意点
人数1〜5人少人数から固定会まで多人数ではダウンタイムが伸びやすい
時間90〜120分じっくり遊びたい会初回は150〜180分に伸びやすい
難度感重量級だがルールは掴みやすい重ゲーの入口を探す人序盤の判断で差がつく
体験の核カード駆動型エンジンビルドコンボ構築が好きな人準備物は多め

まずは基本セット単体で十分な理由

購入方針としては、まず基本セット単体で十分です。
初期デッキと公開カードの回転だけでも、産出構築、TR上げ、称号や褒章の争奪、カード得点の伸び方まで一通り味わえます。
とくに初回はビギナー企業で全体像を掴み、2戦目以降にヘリオンやエコラインへ広げる流れが分かりやすいでしょう。
拡張は、面白さを確認してからで遅くありません。
プレリュードは序盤加速、ヘラス&エリシウムは新マップ2種、ヴィーナス・ネクストは金星要素で複雑化と、順に性格が変わりますが、最初から全部を揃える必要はないのです。
基本セットだけで遊び切れる完成度があるからこそ、初期投資を抑えつつ入りやすい。
ここも強くおすすめできる理由です。

スペックとルールの骨格:勝利条件とTR

テラフォーミング・マーズの骨格は、何人で座るか、どう終わるか、何を伸ばすと勝ち筋になるかの3点を押さえるだけで見えやすくなります。
プレイ人数は1〜5人ですが、初回は説明とカード確認で時間が伸びやすく、卓の空気を含めて楽しみやすいのは3〜4人です。
気温・酸素・海洋の3つを上限まで押し上げる共通ゴールと、TRを軸に収入と得点がつながる設計が、このゲームを「火星を地球化していく手応え」に変えています。

プレイ人数と所要時間の現実

1〜5人対応、基本90〜120分という見た目はかなり遊びやすく映りますが、初回は説明とカード確認だけで150〜180分に伸びやすいです。
特にカード駆動型の重さがあるため、最初の一戦はルールそのものより「どのカードが何を意味するか」を飲み込む時間が長くなりがちです。
だからこそ、初見卓では短時間で回す前提より、腰を据えて触る構えのほうが合っています。

実際に3〜4人卓と5人卓の両方を回すと、5人では待ち時間がはっきり増えました。
各自の手番で考えること自体は面白いのですが、人数が増えるほど盤面の変化を見てから自分の行動に移るまでに間が空きます。
競争と待ち時間の釣り合いを取りやすいのは3〜4人で、最初におすすめしやすい人数帯もここになります。
人数が少ないと流れが速く、人数が多いと盤面の読み合いは増える、という感触で覚えるとよいでしょう。

終了条件=3つのグローバルパラメータ

ゲームは、気温・酸素・海洋の3つのグローバルパラメータがすべて上限に達した時点で終わります。
気温は-30℃から+8℃まで2℃刻み、酸素は0から14%、海洋は9枚という明快な上限があり、全員が同じ地球化の最終形を共有しているのが特徴です。
個人の盤面を育てながらも、盤外では全員が同じ終点へ押し上げていくので、点数競争でありながら「火星を住める星に近づけている」という実感が生まれます。

この構造が強いのは、誰か一人が派手なコンボを決めるだけでは終わらないからです。
資源を貯めるだけではゲームは進まず、気温や酸素や海洋の上昇に直接つながる行動を重ねて初めて、終局に近づいていきます。
海洋を置いた直後に都市や植物の価値が変わるように、盤面全体の意味が世代ごとに書き換わるのも面白さです。
単なる勝敗ではなく、共通ゴールの達成そのものがプレイの中心になるわけです。

得点の背骨テラフォーム評価(TR)

TR、つまりテラフォーム評価は、このゲームの背骨です。
初期値20から始まり、パラメータを1段階上げるたびに+1され、毎世代の収入と最終得点を同時に支えます。
筆者自身、初プレイではTRの重みを軽く見て産出だけ伸ばし、得点行動に移れないまま最下位に沈みました。
収入を増やすだけで満足すると、勝利点の伸びが遅れたときに取り返しがつきにくいのです。

TRの厄介さは、単なる点数ではなく将来の行動回数まで左右する点にあります。
TRを上げれば次の世代のメガクレジットが増え、その増加分でさらにカードを打ち、また地球化を進められる。
つまり、TRを上げること自体が収入増と得点増を兼ねる二重の価値を持っています。
得点のために伸ばすのではなく、得点と再投資の両方を前に進める軸として意識すると、ゲームの見え方が変わります。

資源はメガクレジット・鋼材・チタン・植物・電力・熱の6種で、ここにも拡大再生産の考え方がはっきり出ています。
鋼材は建設タグ、チタンは宇宙タグの支払いに充当でき、植物は緑地、熱は気温上昇へと直結します。
さらに産出は毎世代その資源を生み出す土台なので、今ある手札を回すだけではなく、次の世代にどれだけ資源が増えるかを読む視点が必要です。
序盤に産出を整え、中盤でTRと資源回転を噛み合わせる流れが作れると、かなりおすすめの展開になります。

良い点:拡大再生産とテーマ体験

テラフォームマーズの良さは、毎回ちがうカードの流れから自分だけの勝ち筋を組み立て、産出が得点へ変わる瞬間を何度も味わえるところにあります。
200枚超のプロジェクトカードがあるだけでなく、リサーチフェイズに1枚3メガクレジットで買って抱えるため、引きと選択が常に絡み合い、同じ企業でも別のゲームになりやすい。
そこに火星ボードが緑と海で塗り替わっていく視覚変化が重なり、重厚なユーロでありながら体験は驚くほど鮮やかです。

毎回違う展開を生むカードプール

200枚超のプロジェクトカードは、単に選択肢が多いというだけではありません。
リサーチフェイズに1枚3メガクレジットで買って手元に抱える方式なので、「今すぐ強いカード」を取るか、「後で伸びるカード」を寝かせるかの判断が毎回発生します。
しかも企業の初期能力や序盤の引きで動きが変わるため、同じ戦略をなぞっても必要なピースがそろわず、狙い通りにいかないことが起こるのです。
だからこそ、2戦続けて遊んでも片方は植物寄り、もう片方は熱とカード得点寄りというように、展開がきれいに分岐します。

実際、同じ企業を選んだ2戦でも、手札が変わるだけで別物でした。
ある回は序盤から温存したカードが噛み合って都市と緑地を広げる流れになり、別の回はカード点を積み上げる方へ舵を切るしかなかったのです。
こうした揺らぎがあるから、テラフォームマーズは「覚えた展開を再現するゲーム」ではなく、「配られた条件から最適解を探すゲーム」になります。
リプレイ性の高さは飾りではありません。

産出が得点に化けるエンジンの快感

この作品の中毒性は、序盤に仕込んだ産出が中盤以降に雪だるま式で返ってくる気持ちよさにあります。
熱8個で気温を1段階、植物8枚で緑地タイル1枚へ変換できるため、産出がそのまま盤面の変化と得点に結びつきやすい。
最初は資金も産出も細くても、電力や熱のエンジンを整えた瞬間から手番の価値が跳ね上がり、1アクションの重みが別次元になるのです。

筆者が会心だったのは、電力・熱エンジンを組み上げて終盤に熱を連続投入し、気温を一気に押し上げて勝ち切った一戦でした。
盤面上では地味に見える準備が、最後にまとめて火星の条件を進める爆発力へ変わる。
ここで感じる快感は、単なる大量得点ではなく「仕込んだ順番が報われる」感覚に近いでしょう。
だからおすすめです。
重いゲームなのに、手を動かした実感がきちんと残ります。

火星が色づくテーマ没入

パラメータが上がるたびに海タイルや緑地が増え、赤い惑星が少しずつ色づいていく演出は、数字の最適化を景色の変化として見せる仕掛けです。
熱を上げれば気温が変わり、植物を植えれば緑が広がり、都市が置かれれば火星らしい人の営みが立ち上がる。
この一連の流れが、ルール上の処理と見た目の変化で一致しているから、プレイ中に「世界を変えている」感覚が途切れません。
おすすめの理由はここにあります。

勝ち筋も複数あり、テラフォームを急ぐ道だけでなく、都市と緑地で面を取る道、カード得点を伸ばす道、称号・褒章を狙う道まで見えてきます。
手札や企業に応じて方針を変えればよく、毎回同じ正解を押しつけられないのがうれしいところです。
火星が赤から緑へ変わる様子を見ながら、自分のエンジンが得点へ着地する瞬間を迎える。
そんな体験を求めるなら、かなり相性のよい作品です。

気になる点:重量級ゆえの弱点

序盤の遅さは、このゲームの弱点としてまず押さえておきたい部分です。
開始2〜3世代は資源が乏しく、手元に欲しいカードが並んでもすぐには活かしにくいので、立ち上がりで気持ちが乗らないと「長いだけ」に感じやすいでしょう。
初回は華やかな展開を追うより、産出を整えて次の世代に備える感覚で入ると受け止めやすくなります。

序盤の遅さとプレイ時間

序盤2〜3世代は資源が乏しいため、カード購入の手応えが薄くなりがちです。
ここで無理に動こうとすると手番の価値が見えにくく、受け身の時間が続いたように感じる場面もあります。
だからこそ、初回は「すぐに強い動きが出ないのが前提」と考え、資源の産出基盤を作ることに意識を置くのがよさそうです。

プレイ時間も、見た目以上に重く出ます。
基本は90〜120分でも、初回は説明込みで150〜180分に伸びやすく、平日夜のように時間が限られた卓では最後まで回し切りにくいでしょう。
短時間でサクッと遊ぶ作品ではなく、休日に腰を据えて楽しむタイプとして捉えるのが現実的です。

人数が増えるほどのダウンタイム

人数が増えるほどテンポは落ちやすく、適正卓は3〜4人と見ておくのが妥当です。
5人卓になると他プレイヤーの手番を待つ時間が目立ち、各自の計画よりも待機の印象が残りやすくなります。
筆者が5人卓で回した際も、序盤の手待ちでスマホを触る人が出てしまい、場の集中が少しずつ崩れていきました。

この手の重量級では、待ち時間そのものより「待っている間に考えが切れる」ことが痛いのです。
次の手番までに盤面が動き、思案していた筋が変わると、再計算の負担が増してしまいます。
3〜4人なら自分の判断がほどよい間隔で戻ってきて、展開を追いやすい。
おすすめの人数を絞る理由は、まさにこのテンポにあります。

コンポーネント量と拡張の出費

コンポーネント量の多さも、軽視できない弱点です。
トークンやカードが大量に卓上へ広がるので、プレイエリアを広めに取れないと管理が窮屈になります。
筆者も拡張を勢いで全部買った結果、資材で卓上が埋まり、セットアップだけで15分かかったことがありました。
遊ぶ前から疲れてしまうのは避けたいところでしょう。

さらに、拡張まで揃えると出費もかさみます。
ただ、ここは悲観しすぎなくてよく、基本セット単体でも十分遊べる作りです。
まずは単体購入で始めれば、卓上スペースの圧迫や準備時間の長さ、拡張費用といった弱点の多くは抑えられます。
必要になってから足していく買い方のほうが、結果としておすすめです。

初心者の進め方:最初の3ゲームの動き方

最初の3ゲームは、勝ち筋を探す場ではなく、テラフォーム、産出、都市配置の関係を体で覚える時間です。
初回はビギナー企業でカード効果の見取り図をつかみ、2戦目以降はヘリオンかエコラインで「資源が回る感覚」を掴む流れが安定します。
世代1〜4は派手な得点よりも、毎手番の判断を少しずつ正しく積み上げることに集中しましょう。

初回におすすめの企業3択

最初の1戦はビギナー企業がいちばん扱いやすいです。
手札10枚を無料で保持できるため、「どのカードを買うか」という判断負荷を抱えたまま盤面を見る必要がなく、まずは3パラメータ、産出、得点源のつながりを学べます。
実際、初心者にこの企業で1戦だけ打ってもらい、「テラフォームを毎手番1つは意識する」と伝えたところ、最下位を抜け出したことがありました。
迷いを減らして、ゲームの骨格だけを見せる役割として優秀です。

2戦目以降はヘリオンかエコラインが扱いやすいでしょう。
ヘリオンは熱をメガクレジットとして支払え、さらに熱産出3を持つので、序盤から資源繰りが破綻しにくい設計です。
エコラインは緑地タイルが植物7枚で置けて植物産出もあるため、テラフォームの速度を上げやすい。
逆にインベントリクスやフォボログは、deck の見通しがついてからのほうが飲み込みやすいです。
選択の軸は派手さではなく、資源の回しやすさと勝ち筋の見えやすさに置くのがよいでしょう。

序盤はテラフォームと産出を優先

初心者が最も負けやすいのは、テラフォームが足りないまま終盤を迎える展開です。
世代1〜4では、安価な産出カードを並べて基盤を作りながら、TRを着実に上げていく動きが強くなります。
産出は早い世代に置くほど累積価値が高く、1世代目の産出3と5世代目の産出3では得られる差がまるで違います。
見た目の即効性より、あとで何回分働くかを数えてみてください。

この考え方は、初心者の判断基準を単純にしてくれます。
高得点カードを抱え込むより、まずは毎世代の選択で一歩でもTRを進める、あるいは次の資源回しを楽にする。
その積み重ねが、結果として終盤の自由度を生みます。
筆者が教えるときも、細かいコンボ説明を増やすより、「今世代で産出が1つ増えるか」「次にテラフォームへ届くか」を確認させたほうが、動きが安定しました。

都市とタイルは海の隣接を意識

タイル配置では、海の隣接を意識するだけで収入の感触が変わります。
海洋タイルに隣接して都市を置くと、隣接1枚ごとに2メガクレジットが入るため、複数隣接なら安定収入の土台になります。
最初の都市は、すでに海に寄せるというより、将来海になりそうな場所の近くに置くのがセオリーです。
早い段階で「ここは後で化ける」と見込んでおくと、都市の価値が一段上がります。

筆者自身、初回にエコラインで植物を溜め込みすぎて緑地化が遅れ、手元の資源が盤面の点に変わらないまま終わった失敗がありました。
そこから学んだのは、植物は抱え込むほど偉いわけではなく、こまめに緑地へ変えてテラフォームを進めたほうが強いということです。
都市も同じで、置く場所を先に決めておくと、海と緑地の伸び方を受け止めやすくなります。
読んで覚えるより、1戦ずつ試してみてください。

得点を伸ばす:称号・褒章とシナジー

得点源はTRだけではありません。
称号、褒章、カードやタイルの得点を並行して拾えるかで、終盤の伸びははっきり変わります。
もっとも、最初から全部を追う必要はなく、自分の企業が得意な系統を1つ決めて、そこを軸に点を積み上げる形が組みやすいでしょう。

称号(マイルストーン)の早取り

称号は、条件を満たしたうえで8メガクレジットを支払うと確保でき、1個につき5点入ります。
ゲーム全体で最大3個までしか取れないため、条件達成よりも先に枠が埋まる展開が起こりやすく、早取り競争の色合いが濃いのです。
標準例としては、テラフォーマーはTR35以上、市長は都市3枚、造園家は緑地3枚、建設者は建設タグ8枚、立案者は手札16枚があり、どれも「その戦略を続ければ自然に届く」指標になっています。

筆者の体感でも、称号は中盤までの動きに直結します。
造園家と市長を早取りして10点を先に作れたゲームでは、TRで少し劣勢でも最後まで逃げ切れました。
点そのものも大きいですが、相手に「その道はもう取れない」と思わせる圧力が強く、以後の行動を縛れるのが称号の面白さです。
自分のエンジンが都市寄りなのか、緑地寄りなのか、タグ寄りなのかを見て、1つは早めに狙ってみてください。

褒章(アワード)への資金投下

褒章(アワード)は、資金提供のたびに8→14→20メガクレジットと後になるほど重くなり、最大3個まで設定できます。
最終的な得点は対象カテゴリの1位が5点、2位が2点で、資金提供した人がそのまま1位を取る必要はありません。
ここで見るべきなのは「今この場で自分が優位かどうか」で、優勢なカテゴリに安く先行投資しておくほど、あとで回収しやすくなります。

逆に、後から慌てて資金提供すると、支払いだけ重くなって結果は2位止まり、という失敗が起こりがちです。
実際にそういうゲームを何度か経験すると、褒章は終盤の保険ではなく、中盤までの盤面評価を点に変える装置だと分かります。
おすすめは、建設タグが多い、緑地が伸びる、カード枚数が先行しているなど、すでに自分が走れているカテゴリを早い段階で押さえることです。
そうしておくと、相手が追い上げても最低限の回収線を確保しやすくなります。

タグシナジーと得点変換

終盤は、タグを集めておしまいではなく、それを得点へ変換する局面になります。
建設タグや宇宙タグが増えると、条件付きの強カードが通しやすくなり、序盤に作ったエンジンが後半の爆発力に変わります。
さらに、余った資源や手札を直接点に変えるカードが見えてくると、盤面の開発と得点化が一本の流れでつながります。

ここで意識したいのは、エンジンを回すことと点を取ることを切り分けない姿勢です。
資源を貯めるだけでは勝ち切れず、かといって点ばかりを急ぐと伸びが止まります。
おすすめなのは、タグ条件を満たすカードを1枚でも多く通し、そのうえで余剰分を得点変換へ送る形です。
そうしてみてください。
終盤に「まだ伸びる盤面」から「もう点しかない盤面」へきれいに収束すると、TR以外の得点源がすべて噛み合ってきます。

拡張と類似ゲーム:次に何を買うか

テラフォーミングマーズの拡張は、まずプレリュード、次にヘラス&エリシウム、最後にヴィーナス・ネクストを足す順がいちばん扱いやすいです。
最初にテンポを整え、次に盤面の選択肢を広げ、最後にルールの厚みを増やす流れなので、遊び心地が少しずつ豊かになります。
類似の重量級と比べると、ガイアプロジェクトはさらに重く、アグリコラは別方向のワーカープレイスメントです。
だからこそ、本作は重ゲーの入口として安定しています。

拡張のおすすめ購入順

最初の買い足しはプレリュードで間違いありません。
開始時にプレリュードカード2枚を選べるだけで、序盤の産出立ち上げが滑らかになり、手番のもたつきが驚くほど減ります。
実際、これを入れた途端に体感テンポが改善して、同じゲームでも「早く気持ちよく回り始める」感覚がはっきり出ました。
企業ごとの個性も前に出やすくなるので、『これがないと物足りない』という声が多いのも納得です。
まずここから加えてみてください。

次にヘラス&エリシウムです。
新マップ2種が増えることで、いつも同じ地形をなぞる感じが薄れ、専用の称号・褒章に合わせて勝ち筋の組み立て方が変わります。
ルールを増やしすぎず、遊ぶたびの手触りだけを豊かにする優等生拡張と言えるでしょう。
ヴィーナス・ネクストは金星ゲージを追加してゲームを複雑化させ、1戦の長さも伸ばしやすいので、基本とプレリュードに慣れてから入れるのが無難です。
順番を守ると、買い足しの満足度が落ちません。

ガイアプロジェクト・アグリコラとの違い

ガイアプロジェクトは説明込みで5時間級になりやすく、同じ重量級でもさらに奥へ踏み込む作品です。
あちらは「重いゲームを遊びたい」よりも、「重いゲームをすでに回せる」人向けの感触が強いでしょう。
重量級デビューで先に出して撃沈させた反省があるので、まずテラフォーミングマーズを薦めるようになりました。
入口を少しだけ浅くして、面白さはきちんと保つ。
そのバランスが大事です。

アグリコラは最安約4,500円で手に入りやすいですが、ワーカープレイスメント中心の設計なので、カード駆動で伸びていく本作とは方向性が異なります。
畑や家族経営を詰める面白さと、都市開発をカードで加速していく面白さは、似て見えて別物です。
テラフォーミングマーズは長いのにルールが取り付きやすく、カードを見れば「何をしたいゲームか」が読み取りやすい点が差別化ポイントになります。
比べるほど、本作の説明しやすさが際立ちます。

重量級デビューに本作が向く理由

共通ゴールが3パラメータで見えるのが、本作の強さです。
温度、酸素、水の進行が目に見え、カードの効果も「産出を増やす」「資源を変換する」「得点に変える」と因果がつながっているので、初回でも目標を見失いにくい構造になっています。
派手な派閥争いより先に、手元のエンジンを回して宇宙を変えていく感覚が掴めるのがいいところです。

重量級に初めて触れるなら、まずこの分かりやすさが効きます。
テラフォーミングマーズは、複雑さがあるのに見通しが立ち、カードのやりたいことが明快で、プレイ後に「何を学べば次に良くなるか」も掴みやすい。
初めての重ゲーとして安定して薦められるのは、その学習しやすさと手応えの両立があるからです。
気になっているなら、まず一度遊んでみてください。
拡張はそのあとで十分でしょう。

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相沢 遼介

ボードゲーム歴20年、所有数300個超。重量級ユーロゲームとカードゲームのメカニクス分析を得意とし、戦略の奥深さを論理的に解き明かします。

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